2022
03.01

アーミーナイフ、ポケットナイフ、その他のナイフの仕入れ (民間モデル他)

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純粋なミリタリーからは外れるかもしれませんが、10年くらい前からアメリカのナイフディーラーの方に古いポケットナイフをまとめて送ってもらっています。廃業したナイフショップの在庫や、コレクターがまとめて放出したものなどで米軍用もありますが民間用や、それ以外の軍隊のもの、民間のベンチメイド、SOGベンチメイドアルマー、コールドスチール、レザーマンやオピネル、ウェンガーやビクトリノックスも混じります。ここで気になったものを紹介していこうと思います。

シュレードのOLD TIMERシリーズです。40年代頃のデザインを復刻したものですがブレードはステンレス、ハンドルはボーンに似せた樹脂に細かい斜めの溝が入ったSAWCUTハンドルへとアップデートされています。1980~90年代頃のもので、当時の経営者ガーディナー氏のあいさつ文にNYの工場で熟練したクラフトマンによって作られていることが誇らしげに書かれています。この後、中国製との価格競争にさらされシュレードも生産を中国に移していきます。結局ガーディナー氏は2000年代初頭に大規模なリストラを行い、熟練のクラフトマンのほとんどを手放しました。このあたりが転換期で多くのアメリカのナイフメーカーが中国製になったり倒産したり、吸収合併されたりで急速に勢いを失っていきました。

1892年代から1950年頃まで存在したValley Forge knife社のハンドル中央が盛り上がったきれいなスタイルのナイフです。このナイフは1940年代のものと思われます。収納時13.5㎝と大型ですがロックはなく、スプリングで固定するスリップジョイント式ナイフです。

ポルトガルの海軍用ナイフです。イギリスのものやカナダのものに似た形状です。プラスチックのハンドルに海軍基地の名称が刻まれています。ブレードはロープを切るのに便利なストレートで薄いもので、牛とのロープをほどくマリンスパイクはかなり太いものです太いほうが実用性が高いです)。NICULというメーカーです。 収納時12.5cm

軍用ではないですが、昔他の軍用ナイフと一緒に入荷して荷ほどき用に活躍しているポルトガルのICEL社製です。日本ではあまり知られていませんが、昔からポルトガルのナイフはヨーロッパ各国に輸出されています。スチールなので錆びますが刃の材質は良くてあまり切れ味が落ちないので重宝しています。

CASEの 62351/2と呼ばれる小型のフォールダーです、ハンドル長8.5cm 濃いレッドの樹脂ハンドルで、ボーンハンドルのような凸凹加工されています。CASEナイフもロゴの打ち方による年代判定方があり、こちらのCASE XX / U.S.A.のみの刻印は1964~69年まで使われていたもので、1970年からロゴの下にドット(点)が入り、その数で生産年がわかります。

 

ビクトリノックス社のアルミハンドルシリーズALOXの2017年限定グーリンハンドルモデルです。

ビクトリノックスのソルジャーです。片手で開ける現代的なモデルです。2008年の生産開始時に最初の1000本をファーストプロダクション記念として発売したものです。アメリカでは良く行われます。ブレードに記念モデルのエッチングが入っています。08はシリアルナンバーではなく2008年生産の意味だそうです。

 

スイスアーミーナイフのウェンガー社の100周年記念モデルです。1893創業なので1993年のものです。ビクトリノックス社とウェンガー社の2社がスイス軍納入メーカーでしたがウェンガーは2005年に経営が悪化。ライバルのビクトリノックスが資金援助し、2013年からナイフは全てビクトリノックスブランドに統合されました。

9・11のテロからアメリカでもポケットナイフは航空機持ち込み規制品となり、売り上げが下がったそうです。私も飛行機の移動でポケットナイフを荷物から抜き忘れ2回没収、2回機長預かりを経験しました。

こちらはミリタリースタイルのVICTORINOX社のトルーパーです。実際軍人が使っていたものです。

珍しい80年代頃に作られたサファリハンターです。上のトルーパーやサファリに加えてガットブレード(内側に曲がって先端が鋭くない内臓処理用)がついています。

COLD STEEL社のUWKです。2000年代初頭のカーボンVを使ったモデルです。現在カーボンV鋼は鋼材自体が作られていないため廃版になり同モデルは4116というステンレス鋼に切り替えて生産されています。全長29cm ブレード16cm
アメリカのコレクターが箱のまま保管していたものです。

BuckナイフのKalinga(カリンガ)です。1988年の箱入り未使用品です。この時代は425M鋼を使っていました。

軍用ナイフと一緒に入ってきたビンテージポケットナイフです。チャレンジカットラリーという19世紀からあるアメリカのメーカーで1928年まで存在しました。シープフット型のブレードとヤスリブレードでハンドルは飴色になったジグドボーンです。写真を撮っていて気付いたのですが最後の写真のスイベルリング近くのボーンが欠損していて、木を彫ったものを代わりに取り付けてあります。よくできていて気付きませんでした(笑)

シアーズ・ローバック社のブランドCRAFTSMANナイフです。1950年代頃からあったブランドの様で、カミラス、シュレードなどに発注して生産委託していました。こちらはカミラスのものと思われるストックマン型3ブレードナイフです。CRAFTSMAN USA 95234の刻印があります。

こちらはベトナム戦時に販売された日本製のミニナイフで、米兵が持ち帰ったものです。ハンドル長5.5cmと小さく、粗い造りです。

KaneKutlury 50~60年代に日本からアメリカに輸出していたブランドです。薄いステンレスのブレードで、ホーンに似せた樹脂ハンドルです。シースは非常にしっかりしたつくりで、ストラップ無しでもしっかりナイフをホールドしています。ヌード女性のエンボス入りです。

ANZA(アンザ)ナイフです。

1980年からナイフを作り続けているメーカーで、個人のカスタムメーカーの割には100~200ドル前後と安価な実用ナイフです。ヤスリを焼き直し、削り出してナイフにしているのが特徴で、側面などにヤスリの模様を残しています。小型ナイフを得意とし、ブレードは分厚いですが強めのホローグラインドを施され鋭利です。一応モデルの分類はあるのですが、どれも微妙に違っているようで、メーカーの感覚と目分量で削り出していくようです。

初期の86年のものです。シースのロゴが異なります。

CFKカットラリー/ipakナイフ

こちらもアメリカのハンドメイドメーカーで100~200ドルの価格帯で2000年代からナイフを製作しているメーカーです。CFKはアウトドア用、ipakナイフの方はミリタリー・タクティカルを意識したモデルです。こちらもモデル名はあってもそれぞれ細部が異なり、1点ものに近いです。D2鋼を中心に実用的な鋼材を使った頑丈なナイフです。シースはバッファローレザーのかなり厚いしっかりしたものです。

こちらは別ブランドのCFKカットラリーのものです。こちらの方が細部が手の込んだ造りです。高価なVG-10鋼を使っています。

カミラス社のホークビルナイフです。鷹のくちばしのような形状で、内側に刃があります。農作業や、ロープカット、布袋の開封などの作業には便利な形状でアメリカではいまだに人気があります。飛び出した真鍮のプレートを横に押すとロックが外れブレードを畳むことができます。現在多くのナイフに採用されているライナーロックのはしりですね。

Kutmasterカットマスター(Utica社の別ブランド)のホークビルです。使い込まれています。

古いオピネルのNo.8です。

USNの刻印があるポケットナイフです。全てステンレスで爆弾に火がついたようなフレーミングマークの中にIの文字が刻印されています。米軍の支給品ではありませんがPXなどで売られていた日本製と思われいます。

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