2021
05.26

ジャングルファティーグ 4thパターン(リップストップ)/初付けパッチについて

Vietnam

フォース(4th)パターンも紹介します。袖部分のマチの構造でフィフス(5th)まで分ける方もいますが、私は複雑化すると覚えきれなくなるのでこの部分は無視しています。すみません。当時使われたものがまとまって見つかったので、ついているパッチなども含めて紹介します。

 

形状はサードパターンと同じで、生地がリップストップ(破れ止め補強)タイプに変わったのみです。

RIP STOP POPLIN と書かれています。

このような破れが発生しても縦横に等間隔で入った補強糸の部分で破れがストップし広がりにくくなっています。

こちらはパンツです。ジップフライ(前合わせがジッパー留め)のタイプで1968年以降はボタンフライからこのタイプに変わります。

当時の大尉が使用していた実物です。
肩のサブデュードの特殊部隊章は珍しいカットエッジのものです。元のネームテープの下側に破れがあり、それをカバーする形で新しいネームテープを縫いつけています。
あとのパッチは初付け(「しょづけ」と読みます。初めからついていたままの意味だそうです)です。パッチを縫い付けてから何度も洗われ年月が経つとパッチと生地の縮み方が異なるのでこのような縮みしわが出来ます。

こちらは特殊部隊の少佐のものです。こちらは半袖にカットされたもので、両袖に薄く空軍の階級章の跡が見えます。空軍のジャケットに後付けで誰かが人気ある特殊部隊のパッチ類をつけた可能性があるのですが、このジャケットはその後に付けられた特殊部隊章、反対の袖のMACVパッチの裏に強い縮みしわがあり、つけてからだいぶ経っていることがわかります。US ARMYテープはローカルメイドでセンターの出っ張った部分が擦り切れており、これも裏側を見るとプレスした際の文字の跡が裏側に飛び出ています。1968年

こちらは3回のベトナムツアーに参加した工兵兵科の大佐のものです。ウエストポイント士官学校を卒業後、101空挺師団に配属され空挺とレンジャー資格を取得し、その後第44工兵大隊に転属、ベトナム戦争ではブロンズスターとエアメダルを授与されています。フロリダでは地元の名士のような方だそうです。

特殊部隊の少佐のものですが、胸にシニアパイロット章がついています。この組み合わせは通常特殊部隊に分遣隊として派遣された航空部隊(第281アサルトヘリコプター中隊など)のヘリコプターパイロットに見られるものです。実際の所属は第1航空旅団ですが、派遣された特殊部隊のパッチをつけたものを過去に扱ったことがあります。1969年のものです。

第25歩兵師団の歩兵兵科、中尉のものです。1968年のものですが、メロウドエッジのサブデュードのSSI(ショルダースリーブインシグニア=袖の上部につける師団パッチ)です。ARMYテープはローカルメイド、ネームテープは外されています。当時をしのばせる荒い縫い方です(笑)。25師団のパッチは輪郭が曲がりくねっているので縫いにくいのでしょう。裏がに縫い糸の余りが大量についていますが、これも当時よくあることで、裏を丁寧に見ずにそのまま糸をカットした跡です。

 

こちらも68年の第25歩兵師団の中尉さんのものですが、こちらはツイルパッチが付いています。兵科は砲兵でネームタグは外されています。補修が数か所ありました。パッチの取り付け方はやはりかなり荒っぽいですね。

第1騎兵師団の通信兵科将校のもので、支給品のツイルパッチ、ローカルメイドのネーム/ARMYテープが付いています。文字部分の糸が褪色して紺色に転び、いい味を出しています。少尉または中尉の方ですが、階級章のみ外され裏に糸が残っています。ジャケットのサイズが小ぶりなので大きいパッチがさらに強調されて印象的なジャケットです。1969年

第1騎兵師団のメロウドエッジサブデュードパッチにレンジャータブが付いています。それ以外のパッチは外され、ARMYテープをはがした際に小さな穴が出来ています。1968年

第1ロジスティカル(補給)コマンドの特技兵のものです。右肩のコンバットパッチ(以前に戦闘地域で所属していた部隊のパッチで誇りとして好んでつけられた)はUSARVN(ベトナム派遣米軍)のベルベットを使ったローカルメイドです。同じロンビン ポスト(サイゴン近郊の当時ベトナム最大の陸軍の拠点)に駐留していた部隊なので任務の関係で異動したのでしょう。右肩のコンバットパッチのみ裏の糸が黒くあまり糸が付いています)、後で追加されたことがわかります。1968年のジャケットですが、ナイロンのネームテープが使われています。ちなみにパッチ類を縫い付けた表側の糸が白いですが、これは褪色によるもので、当時はOD色のものだったはずです。

日本のコレクターには通信部隊や、ロジスティック(輸送)系の部隊は後方部隊と思われ人気が無いのですが、ベトナムではゲリラ戦で戦場のラインがはっきり決まっておらず輸送部隊でも防衛任務などでガントラックがあったり、通信部隊は敵の動向を探る秘密性の高い電子戦部隊などがあり、欧米では人気があります。

この第1ロジスティカルコマンドでもベトナム戦争期間中の戦死者約600名、負傷者1500名が出ており戦闘部隊に近い性質です。以前右肩に特殊部隊、左肩にロジスティカルコマンドのジャケットを扱ったこともあり、いろいろな任務があったのだと思います。

左袖に在ベトナム米陸軍のツイルサブデュードパッチ、右袖に第1騎兵師団の手刺繍のツイル生地パッチが付いています。
ナイロンARMYテープと襟にスペシャリスト4の金属階級章が付いています。

こちらも同部隊のもので軍曹のジャケットです。泥の汚れが付いておりフィールドで使用されていたジャケットです。前合わせの下にボタンを追加した跡がありますが。今はボタンホールが縫って埋められています。

特殊部隊大尉のものです。こちらもメロウドエッジのショルダーパッチです。ネームテープはスタンプ、ARMYテープは60年代のツイルサブデュードの部隊章と同時期に支給されたものです。ODツイルに太文字の黒糸刺繍、明るいODに糸で縁がトリミングされています。サイズラベルと、ラベル横に名前の頭文字が書かれています。

第23歩兵師団のローカルメイドパッチと、ツイルの特技兵階級章が付いたジャケットです。テープ類もローカルメイドです。ポケットに旅団パッチが付いていた跡があります。1968年のものです。

101空挺師団のフルパッチジャケットです。メロウドエッジカラーの師団パッチとツイルの特技兵階級章が付いています。CIBとローカル製のARMY/ネームテープが付いています。1968年

綺麗なポケットパッチのついたジャケットです。第1航空旅団第165アビエーショングループ コマンドエアクラフトカンパニー(CAC)の少佐のものでローカルのRANGERタブ、シニアパイロットウイングと少佐階級章、歩兵兵科章、両テープが付いたフルパッチです。CACはサイゴン近郊のロンタンを基地として軍の高官の輸送などにあたりました。

袖をカットしてベストに改造したものです。下のポケットは取りのぞかれ、背中部分にM16のマガジンポケットが5つ追加されています。

第9歩兵師団のローカルメイドベルベットパッチ、手刺繍の階級章、CIBとARMYテープが付いたローカル色溢れるジャケットです。ネームはミシンのローカル刺繍です。字がOD色に見えますが褪色によるもので、もとは黒い糸で刺繍されていたものです。

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