06.01
米軍キャンティーン(米軍用1クォート水筒)
米軍の1クオート(約1L)の標準的な水筒です。素材やキャップは変わりますが本体の形状は100年以上変わっていません。
先日アウトドアショップに行ったらこの水筒の半透明の樹脂タイプがアウトドアブランドから販売されていました。
ナルゲン オアシス
ほぼ完成されたデザインなのだと思います。
1次大戦のものは別記事で紹介しています。
こちらはアルミを前後から溶接したもので側面に溶接跡があります。以前水筒をオークションで落札されたお客様が溶接跡を見て、補修品だと思われ返品頂いたことがあります。鋳造でしたらパーティングライン(つなぎ目)なしでも作れますが、大量生産品は金属を曲げて作るのでこの形にするにはどこかでパーツをつなげる必要がありますね。1942年AGM Co.(Aluminum Goods Manufacturing)製
同じAGM社の未使用品です1945年製
アルミの上下を溶接したタイプです。RSE社1945年 約210グラム
同じ構造の1943年 F.E. Co (Fletcher Enamel )製 薄いアルミ製で約150グラムと超軽量です。
こちらはアルミの側面溶接ですが、表面が白くざらっとした加工です。1945年SM Co.(Southeastern Metals)製です。
MASSILLONアルミニウム社1945年製
R.S.E Co (Republic Stamping and Enameling )1945年製
米軍では航空機用アルミの不足から戦争中期にステンレス水筒が採用され切り替えを行おうとしていましたが、大量の水筒用アルミのストックや生産ライン/工場の変更の難しさから結局戦後までアルミ水筒は生産され続けました。
ステンレス製 SM Co.の1944年のものです。カップに収納した際のストッパーとなる縁部分で上下のパーツを溶接しています。
同じくステンレス製でVOLLAH1944のものです。
SM Co.1943年のステンレス製ですが、キャップの裏側に25セント硬貨が張り付けられています。
VOLLRATH1943年製 このようにキャップの蓋の上部が平らなものはフラットトップキャップと呼ばれています。
VOLLRATH1945年製 未使用品
フラットトップキャップ付きのSWANSON1943年製
2次大戦の水筒と1次大戦のカップで、同じ兵士に使われていたものです。このように年代が混ざった形で使用されていることも多いです。
WW2当時のセットですが、カップがスチールにメッキ加工の製のLF&Cの1942年製です。スチールの欠点で、このように深く錆びることがあります。
一緒に入っていた水筒はステンレスのため錆びていません。
1953年MIRRO Corp.のアルミ製です。大戦中のAGM Co.が社名変更したもので、1951年から朝鮮戦争の需要に合わせて納入したもので、大戦中の1クォートよりわずかに容量が多くなっています。
1962年同じMIRROのアルミ製です。
1962年ROGERSブランド(製造はMIRRO)の未使用品です。
ベトナム戦争時のプラスチック水筒です。1969年製 150グラム(それまでのアルミ製は軽いもので230グラム)と軽量になっています。キャップの裏にゴムやコルクの無いシンプルな構造です。
こちらは初期の1963年のものです。
米軍のものを南ベトナム軍でコピーしたものです。
1991年のものです。ベトナム戦時と全く変わりません。こちらはM17ガスマスクのドリンクチューブに接続できるキャップが付いています。
1966年M.W.Incの未使用品です。
左は実物、右の暗い色のものはレプリカです。色については実物でもカラーバリエーションあるので写真ではわかりません。レプリカは2つのパーツの接合部の成型バリが雑に残っているのと、素材が柔らかく握るとへこむので判別できます。ただ私が15年ほど前にベトナムで生産しているのを見た精巧なレプリカは素材も固く、私も見分けがつきませんでした。
コメント
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オークションで落札しようか(実際落札なさった)というヒトが熔接痕を見て「補修品」として返品を?
オークションで入札するようなヒトならばその程度の理解はあると思ってはいけないのですね。
毎回いろんなアイテムの紹介画像を有難く拝見しております。