09.09
ビアカンバッジ(ベトナム戦時現地製バッジ)
米軍では戦闘服に師団章をつけますが、それ以外に自分の連隊、大隊などを示す金属製バッジを制服に着用します。
これらをdistinctive unit insignia (DUI) と呼びます。
アメリカのメーカーで大量に作られ、PX(基地の売店)などで売られていますがベトナム戦争ではパッチ同様、現地製が多く出回りました。ビールの缶のような薄い金属板から作られたので「ビアカンバッジ」とか「ビアカンインシグニア」と呼ばれました。本当にビールをつぶして作られたものもあったようですが、通常はビールではないシートメタルを使ったようです。アメリカ製のバッジは鋳造で重いものですが、ビアカンバッジは薄く手で曲がってしまうようなものでおそらくプレス加工で凹凸をつけて、手でペイントしたと思われます。(詳細な製法は私も知りません)
アメリカではビアカン専門のコレクターがいて、通常のバッジよりかなり高く取引されていますが日本ではまだ安く流通しているアイテムだと思います。
20年ほど前に、ベトナムの地方都市を回って軍装品を探していた時
ニャチャンの古い土産物屋でビアカンバッジを見つけ、店主と会話したところ店の奥から同じバッジが30個ほど見つかった思い出があります。
基地の近くで、そこに駐留する部隊向けに売られることが多いので、この様にいくつもまとまって見つかります。
こちらがその時購入したアメリカの第1野戦軍とベトナム派遣韓国軍のバッジです。後ろのピン受けはあとでつけたもので、現地ではついていませんでした。
ビアカンバッジは南ベトナム軍用にも多数作られ使用されました。裏がピン2本ではなくブローチや缶バッジのようなフックで受けるタイプもあります。以前日本でこのようなブローチタイプはレプリカだ、といううわさが出回りましたが、昔ベトナム戦時に持ち帰られたビアカンコレクターから見せてもらったものは大半がこのタイプでした。
これは南ベトナム軍のVan Kien トレーニングセンターのバッジです。塗装がきれいです。
第1軍管区のバッジです。I Corps(アイ コーと読みます)南ベトナム最北部のクアンチなどを含んだ激戦が行われた地区です。
UASRVN 在ベトナム米陸軍のものです。
こちらに3個ならんでいるのは、第52歩兵連隊(52nd inf.)のビアカンバッジです。
52歩兵連隊はベトナム戦時66年~72年まで現地駐留しており、C中隊は716MP大隊と
共にサイゴンの警備にあたり、テト攻勢の際は市街戦を行っています。
E,F中隊はLRRP中隊としてそれぞれ第1騎兵師団、第1歩兵師団隷下で活動しました。
第1騎兵師団司令部付きのビアカンバッジです。
これもビアカンの一種ということで紹介します。第11騎兵のハットバッジです。薄い金属を打ち出して手作りで作られています。テンガロンハットやベースボールキャップにつけるバッジです。
こちらはMACV SOGのCCSのものです。ビアカンというよりプラークを作るのと同じ手法で作られており、あとでピンを追加したものと思われます。以前、タイから持ち帰られたもので同じサイズのピンのついていないものを10個ほどまとめて入手したことがあります。高さ約5cm
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