2022
07.02

南ベトナム軍末期の戦闘服(4ポケット最終タイプ)

Vietnam

私が2000年頃買い付けに行ったベトナムで、大量に出回っていたタイプの衣類を紹介します(写真も当時撮影したものです)。おそらくどこかの民間の倉庫にあったか、軍の倉庫に接収したものが眠っていたのを放出したのだと思います。当時は資料もなく、この形状を見たことが無かったためコピーと疑ってかかり、ほとんど興味を持たなかったのですが、その後数年で見かけなくなりました。その後は博物館や映画会社のストックで1度の買い付けで1点ずつ見つかるのみとなってしまいました。

 

最後期タイプといわれる、厚手コットン4ポケットのジャケットと腿にカーゴポケットのついたパンツのセットです。ジャケットは74年8月のスタンプが押されており、はじめから半袖で作られています。(長袖タイプもあります)胸ポケットはフラット、裾のポケットはマチがあります。
背中にウエストを締めるためのタブとボタンが付いているものもありますが、これは付いていません。(フラップの縫い付けアタリはありますがボタン跡がないため途中で仕様を変えたのかもしれません)
工場から出荷されたままで、縫製後の余り糸が処理されていないのが特徴です。
ボタンボールも荒い作りで、縫い目のみでボタンホールがカットされていなかったり、カットが小さくボタンがきつくて入らないものもあります。

パンツは74年10月のものです。(生産は終戦ギリギリまで行われており、75年4月スタンプのものも見たことがあります。)

カーゴポケットはマチ付き、尻ポケットはフラットです。前側にポケットはありません。
これと同じつくりのレンジャー/エアボーンパターン迷彩(パステルリーフ)のものもあります。生地はどちらも厚手で、ベトナムの気候にはマッチしません。70年に入ってからは、このような4ポケットジャケット、カーゴポケット付きパンツが生産されるようになり、71年以降の当時の写真ではこちらが主流となっています。
東京の倉庫に昔ベトナムで仕入れたデッドストックのものが残っていました。上下とも1973年のもので、ウエストタブ付きのものです。こうして撮影すると昔のドイツ軍のようにも見えますね。実際の戦場ではこのようにパリっとしておらず、タイトルの写真のようにくたびれた感じになります。
サイズ表示ですが上着はAで始まる数字、パンツはQで始まる数字で1が最小、7が通常の最大サイズです。こちらは両方3ですが日本のMサイズくらいになります。
この様に縫った後の糸の処理をしていないため、大量の余り糸が付いたままになっています。ボタンホールも縫われてはいますが穴をカットしていないものもあり、その場合気を付けながら自分でカッターでボタンホールをあけなくてはなりません。
同時に見つかった2ポケットのジャケットです。1972年のものです。72年ごろまでの写真を見ると2ポケット、4ポケットが混在して使用されていたようです。73年以降になると4ポケットのものが多くなります。ネームとナンバーを黄色いペイントでステンシルしてあります。
スタンプが上下逆に押されています。A5サイズ 1972年6月のものです。
こちらは60年代頃のポプリン製の薄手シャツです。

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