2022
05.04

南ベトナム軍ベレー

Vietnam

1975年に当時アメリカ側が支援していた南ベトナム共和国が敗北しベトナム戦争が終わりました。それからすでに45年以上経過しているので、当時のオリジナルアイテムも貴重になってきました。南ベトナム共和国の軍隊は、フランス統治時代のフランス軍の伝統が残っており、制服やこのベレーなどもその名残です。ベレーの徽章をつける場所がアメリカのグリーンベレーなどでは左目の上あたりですが、南ベトナム軍のものはフランス軍と同様右の耳近くになります。

ベトナム戦争当時一般歩兵のベレー着用は少なく、空挺、レンジャー、海兵隊などのエリート部隊や戦車兵、野戦警察などが多用していました。

陸軍の空挺部隊のベレーはレッドのフェルト製で、金銀のモールを使ったパラシュートと羽のマークがついています。中央下部に黄色に赤三本線の南ベトナム共和国国旗があしらわれています。空挺はほとんどがこのようなモールの徽章を使っており、金属のバッジタイプは非常に珍しく私も2回しか見たことがありません。

このベレーは内側のライニングを外し、救難信号マーカーなどに使われる鮮やかなオレンジのナイロンを縫い付けてあります。このベレーはフェルト部分が一体構造ではなく3つの布を縫い合わせた3ピース構造です。初期のベレーに多く見られ、当初は一体構造のものが技術的に作れなかったためではないかと考えています。

よく似ていますがレンジャー部隊のベレーでパラシュート降下は行わずエリート部隊として有名でした。正式には赤ではなくマルーン(エビ茶)ですが、こちらのベレーは上のベレーとほぼ同じ赤に近いフェルトです。色に関せしてはあまり厳格な決まりはなかったようです。矢に翼のついた徽章がつけられています。こちらにも国旗が入っています。

金フォイル地の紙タグにメーカー名がプリントされています。中央Chi Thanhが店の名前で当時のテーラーショップで、軍人向けに被服を販売していた業者です。当時のベレーはほぼすべてこのように軍人向けのテーラーショップで販売されていたようです。下のCholonはサイゴン(現ホーチミン市)の西側にある中華街のあるエリアです。もちろん現在ここに行っても軍人向けの店はありません。

南ベトナム海兵隊のベレーです。海兵隊徽章は、金属バッジのものと、金銀のモールまたは刺繍で作られたものがあります。金属バッジのほうが地味に見えるのですが、こちらが将校用です。グリーンのベレーと決まっているのですがこちらも色のバリエーションは豊富で、このような青っぽいグリーンから米軍のグリーンベレーのような色合いまであります。裏側の透明ビニールの中にメーカーのラベルは入っておらず、サイズをボールペンで書いた小さな紙きれが入っているのみですが、このベレーは当時の実物です。このベレーも初期に見られる3ピース構造です。

後方のリボンのような紐ですがビニールのヘッドバンドの中を通して一周しています。ビニールは縮まないので、このような構造にしてもサイズ調整は出来ないのですがなぜか実物はほとんどこのような構造になっています。逆にレプリカのベレーは現実的で紐は後ろの端部分だけに飾りのように縫い付けてあります。

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